数学の授業後の休み時間。


「ねぇねぇ、咲来ちゃん。さっきの数学の応用問題、答えられたの凄すぎるよ」


私がいつものように席で一人座っていると、クラスメイトのナナちゃんが声をかけてきた。


ナナちゃんはポニーテールで、目がクリクリしたとっても可愛い女の子。


「そっ、そうかな?」

「ほんとほんと。あたし、あのあと先生の解説聞いててもイマイチ分かんなかったもん」


ナナちゃんの友達で、ショートヘアがトレードマークのミサキちゃんもやって来る。


「ねぇ、咲来ちゃん。お願いがあるんだけど」

「お願い?」


ナナちゃんに、私は首を傾げる。


「あのね、良かったら……さっきの数学の問題の解き方教えてくれない?」


え!?


「あたしもー! 期末テスト近いから、ちゃんと解けるようになりたいし」


うそ、ミサキちゃんまで……。


「う、うん。もちろん! 私で良ければ喜んで」

「ほんと!? ありがとー!」


私はさっそく二人に、数学の問題の解き方を教え始める。


まさか、クラスメイトにこんなふうに声をかけてもらえる日が来るなんて思ってもみなかった。


これも全部、紫苑くんのおかげだよ。