翌日の放課後。


SHRが終わると、私は急いで教室から図書室へと向かう。


昨日、これから一緒に勉強を頑張ろうと話した私と滝川くんは、期末テストまで放課後は毎日図書室で勉強することに決まった。


私が図書室に着くと、滝川くんは既に来ていた。


「滝川くん、お待たせ」

「ううん。俺も少し前に来たところだから」


私と滝川くんは、図書室の奥にある自習スペースに隣同士で腰を下ろす。


「それじゃあ、さっそく秘密の課外授業始めますか」


滝川くんの『秘密』という言葉に、私は少しくすぐったい気持ちになる。


どうせやるなら、放課後に二人でこっそりと頑張って、皆を驚かせようということになったんだよね。

だから、“ 秘密の課外授業 ”。


「よろしくお願いします、滝川先生」

「ちょっ、さすがに先生はやめてよ。面白いなぁ、咲来は」


滝川くんが、肩を震わせる。


「それじゃあ滝川くん、お願いします」

「ううん。“ 滝川くん ” じゃなくて……」


滝川くんの艶のある唇が、私の耳元に近づく。


「これから咲来には俺のこと、“ 紫苑 ” って呼んで欲しい」

「え!?」