鏡と前世と夜桜の恋


意味が掴めずぽかんとした顔で蓮稀を見つめ、雪美は蓮稀の背後から抱きついていた。

その温度があまりにも優しくて… 蓮稀は苦笑いし雪美の手をそっと掴んだ。

「そういうところだ。人の気も知らないでお前は… 」

蓮稀はそのまま静かに口付けた。唇に触れた瞬間、雪美は驚いた顔で蓮稀を見つめる。


「きょ、今日は帰ります!!// 」

顔を真っ赤にして走り去った。

家の前で立ち止まり
胸を押さえて呼吸を整えながら…

「わ、私のお尻は光らないもん… // 」

ぶつぶつ言う雪美の心臓は高鳴る一方、蓮稀と2回目の口付け… 心の中ではこの口付けの意味を知りたかった。


真っ赤になって走り去った背中を見送りながら、蓮稀は夜空を仰いだ。

「…蛍に例えたくらいで逃げるか」

口元は自然に笑っていた。

けれどその胸の奥では雪美の縁談の事がじりじりと燃えるように疼いていた。

咲夜に頼まれたからお前に会いに来ているんじゃない… この行動は蓮稀の意思。


だから雪美

もしお前が咲夜以外と縁談を組もうが、どうしようが、どこへ向かおうが、俺はお前の元から絶対に離れない。

" 雪美の幸せを誰よりも願う "

蓮稀の願いは雪美が笑顔で健康に居てくれさえすればそれだけで良い。心に秘めたこの決意を改めて誓った。