「蓮稀様といい、小さい頃からお前達を見てきたのは私なんだよ、全く… 私への恩もないのかい!」



「ふざけるな!ゆきを返せ、ゆき… お前等だけは殺してやる… ゆき、ゆき… 」



「うるさいね!あんな外道ほっときな!!!咲夜さんまで逆らうからこうなるんだよ〜 」



藤川は咲夜の怒り狂う姿を眺め、お前等兄弟はもっと苦しめば良いと嬉しそうに笑いながら " そいつを早く大人しくさせろ " 更に合図を出す。



咲夜の罪は、鈴香と実の兄… 蓮稀を残虐に殺害及び、おすずと陽菜を襲った重罪扱い。



藤川の合図を受けた町奉行所の男達は、咲夜が大人しくなるまで何度も何度も暴行し…



「ゆき、ごめんな… ゆき… 」



咲夜はそのまま意識を手放した。








… どうして俺達兄弟は、この一家にここまでの酷い扱いを受けなければならない。



俺達が何をした?



普通に生活し、心から惹かれた女に恋をしただけ。



あの一家は何でもかんでも自分の欲が全て。思い通りにならないのならお前は死ね、自分のものにならないのなら死んで当然。



… 理不尽な考えを権力を使って通そうとする。



俺の願いはただ一つ、誰にも邪魔されず穏やかな時間を、ゆきと一緒に過ごしたいだけなのに…



他のもの、必要以上の欲は何も望まない。どうして誰でも掴める権利のある " 穏やかな時間 " を過ごす事が俺は叶わないんだろう。