更に数分後…
「さく、鍵あったよー!」
牢屋を開ける鍵を手に入れ、ルンルン気分で咲夜の元に戻って来た雪美。
「あったよー!じゃなくて、しーっ!!!」
「あ、しーっ… 」
「見つかったらどうするんだよ!!」
ーー ガチャン。
「… さく、開いたよ!!!」
鍵を開け、雪美が牢屋の扉を開けた瞬間… 見張りの男の足音がどんどん近付いて来る。
やばい、見つかる… 雪美の腕を掴んだ咲夜は、咄嗟に牢屋の扉を閉めて雪美に覆い被さり雪美を隠す。
「…… // 」
「……。」
密着する二人…
咲夜との距離が近いとドキドキする雪美
見つからないでくれとドキドキする咲夜
" 異常無し "
見張りの男の声がしたかと思うと、近付いて来た足音がどんどん遠のいていく。
助かった… 何とか見張りの男の目を誤魔化せた咲夜は覆い被さる雪美から離れ、立ち上がろうとする。
「……っ 」
「さく、その足どうしたの!?」
痛みから顔を歪ませる咲夜に気付いた雪美は、今にも泣き出しそうな表情を浮かべる。
「…大丈夫、捻っただけだ」
咲夜は " ゆきにはこれ以上怖い思いも、心配もかけたくない " その一心から、何事もなかったかのように平気なフリをして作り笑顔を見せる。
本当は… ここに連れて来られた時、おすずから性的暴力を受け、逃げられない様に右足を折られた… なんて、雪美に言える訳もなく。
「… 逃げるぞ」
咲夜は雪美を連れて、平然を装い激痛に耐えながら町奉行所を脱獄。
「…さく、私の背中に乗って!!」
「ゆき… 」
右足を心配した雪美は、町奉行所から出て少し離れた場所で咲夜をおんぶしようとしゃがみ込む。
「さく、もう大丈夫だから!」
抜けているのかと思えば気の強いところのある雪美… 俺はそんな雪美が大好きで、雪美の優しさに微笑んだ咲夜は、愛おしい相手の背中に自分の体を預けた。
「ありがとう、ゆき… 」
自分よりも大きな咲夜をおんぶする雪美は、とりあえず見つからずにゆっくり咲夜の足の手当てが出来る場所を探すことにした。