「鈴香みたいになるな、鈴香の分まで生きるんだよ!!」



蓮稀は " 一人は嫌 " と泣きじゃくりながら駄々をこね、我儘を言う雪美の頬を叩く。



" 鈴香みたいに "



この言葉… 蓮稀お兄ちゃんはどんな気持ちで言ってくれたの。苦しい、思い出したくもない、きっと辛かったはず。そんな事を考えながらも我に返った雪美は蓮稀の脛を思いきり蹴り飛ばす。



「ねえ痛い!殴らないでよ!」



「… メソメソしてたら咲夜に笑われるぞ」



蹴り飛ばされた脛を押さえながら " いつもの雪美に戻ったな " と、雪美の反応に微笑む蓮稀。



「… 蓮稀お兄ちゃんも一緒に行くのよ!!」



「うん、行くよ俺も」



雪美は蓮稀の腕を掴み引っ張ろうとするが…



そんな雪美の背中を押して廊下に出させた蓮稀は、自分は牢獄に残ったまま扉を閉めた。



「やだ、なんで… 」



外から開かないように押さえる扉を開けようとする雪美に蓮稀は " 早く行け!見つからぬうちに… " と、笑う。



「蓮稀お兄ちゃん… 」



「良いから行け、早く!!」



蓮稀の力強い声にビクッとした雪美は… 無我夢中で走り、蓮稀に言われるがまま牢屋敷から抜け出した。