牢獄の前で止まった足音。
だ、誰…?
足音の主、雪美の居る牢獄の鍵を開けようとしているのは、人差し指を立て " しーっ!!" と、する蓮稀だった。
「あ… 」
" 蓮稀お兄ちゃん… " 心の中で名前を呼びながら、雪美は慌てて全裸にされた体を隠す。
金属のような物を鍵穴に差し込みガチャガチャと触ると扉が開いた。
「うわあああんー、蓮稀お兄ちゃああああん…」
声を出し子供のように泣きじゃくる雪美に対し蓮稀は、着ている羽織りを脱ぎ雪美の体にかけてあげて…
「やだ、見ないで!!私汚いの、陸に… もうやだ、もうさくにも会えない… 」
取り乱す雪美の体を抱きしめた蓮稀は、背中をぽんぽんと撫で雪美を落ち着かせる。
「雪美… 咲夜は捕まった。鈴香を殺し、おすずと陽菜を襲った罪だと… 」
「何でそんな罪をさくが… 」
「俺がすずと陽菜から逃げたからだ… 」
" 鈴香の持ち物くらいは返す "
この言葉を信じて蓮稀はおすずに着いて行ったが、呼び出す為の口実で。
鈴香を奪われ、もう言いなりになる必要はないと判断した蓮稀は、その場から逃げ出した… その結果、理不尽にも咲夜が無実の罪を着せられた。
「そんな… 」
「だから咲夜が大切にしている雪美は俺が逃がす。京に行け、知り合いに文を出しておく。咲夜も直ぐに後を追わせるから… 」
" 俺が原因だ " そう言って、悔しそうに嘆く蓮稀は、雪美の体を立たせてここから逃げろと背中を押す。
「京…?そんな遠い場所に… 私一人じゃ行けない… 一人は嫌よ!!」