蔵に入って来たのは蓮稀と、蓮稀と同じ長身で顔立ちの整った男の子、なんで蓮稀が… 一緒に居るのは誰?雪美は驚きと蓮稀に会えた嬉しさのあまり " 蓮稀!" と、隠れるのを忘れて立ち上がる。
蔵の中に居るはずのない人の気配に気付いた蓮稀の弟『咲夜』は、政条家の所有地から女の子が現れびっくり。
「 だ、誰だお前!」
当時『蓮稀11歳、咲夜8歳、雪美6歳』
咲夜は雪美を侵入者だと思い込み手に持っていた木の棒を突きつけ警戒。
「…咲夜その子だよ、さっき話した子だ」
私の話し?蓮稀は怒った様子もなく、雪美が以前からここに通っているのを知ってたかのように穏やかに笑っていた。
「さく、や?」
「 …は、咲夜だと?俺を呼び捨てにすんな!呼び捨てにしていいのは俺の嫁になる奴だけだ!」
咲夜は木の棒を振り降ろし雪美の事を睨みつける。
蓮稀はこの男の子に何を話しをしたんだろう?気になるけど男の子は完全に怒ってるし… 聞くに聞ける雰囲気ではない。
「おいコラ、聞いてるのかお前!!」
「じゃあ咲夜さんと呼んだらいいのね?」
何よ、怒りっぽいし変な人。偉そうだし木の棒なんか振り回して… 咲夜に対して嫌味を言った雪美はふいっと顔を背けた。
" 俺の弟なんだよ、コイツ… "
そんな2人のやり取りを見て思わず苦笑いを浮かべる蓮稀。
弟?この男の子が?蓮稀の話しを聞く中、咲夜の頬が赤い事に気付き、心配になった雪美は自分の顔を近付け、咲夜の顔を覗き込む。
「蓮稀の弟の咲夜さん顔が赤いわよ?貴方、熱でもあるんじゃない?」
「ち、近寄るな!!お前!!」
「せっかく心配してあげてるのに… ほら、顔貸して!」
雪美は咲夜の額に自分の額をくっつけ " 母上はこうやって熱を測ってくれるのよ " と、言いながら目を閉じる。
「は?なっ… //」
更に赤く頬を染める咲夜を見た蓮稀は必死で笑いを堪え…
「…ば、馬鹿野郎!!//」
顔を真っ赤にした咲夜は、雪美の手を振り払い蔵から1人走り出て行った。
「悪い奴じゃないんだ、許せ。それより雪美はどうしてこんな所に?」
笑うのを辞めた蓮稀は気になっていた質問を雪美に投げかける。
「あ、えっと… 私拗ねるとついここに来てしまうの、落ち着くの…」
「ここは政条家の蔵、人の蔵が落ち着くと?」
「父上や母上はここを知らないから…」
子供だと言ってももう6歳…
金貸し屋の娘と言うだけでこの子にも色々あるんだろうと察した蓮稀はそれ以上何も聞かず雪美の手を取り蔵から出る。
「… え、手繋いでくれるの? 」
「送るよ、妹みたいだからな雪美は」
頬を赤らめ恐る恐る問い掛ける雪美に対して嘘偽りの無い笑顔で微笑む蓮稀。
" 妹みたい "
この言葉に幼いながら傷付いた雪美は蓮稀の手を振り払い " 自分で帰れる!" と、言って走り去る。
「何よ私の気持ちも知らないで… 」
遠くで蓮稀が呼ぶ声が聞こえたが振り返らず前を見ず走っていれば人にぶつかり…
「痛い!痛い痛い痛いうわあああん!」
雪美は大声で泣き出した。

