
「今年も無事に見れたな… 」
咲夜が安堵するように呟くと、雪美は咲夜の袖をくいっと引き " 見て? " と咲夜の目の前で彼岸花へ手を伸ばした。
「あ、だから!触るなって毎年言ってるだろ!」
その慌てた反応が面白くて、雪美はくすっと笑いながら手を引っ込める。
「ねえさく?」
「ん?」
「…もう一度、口付け…して欲しいなって…// 」
消え入りそうな声… 頬まで染めてごにょごにょ言う雪美に咲夜は、わざと顔を近付けて聞き返す。
「聞こえないな、なんだって?」
「絶対聞こえてる… 」
ぷくっと頬を膨らませその場に座り込む雪美。咲夜は隣に腰を下ろした。
「… ゆきはずるい」
そう言って、2人は静かな泉のほとりで2度目の口付けを交わした。
雪美の胸は忙しかった、心臓の音が煩く咲夜に聞こえそうで心配… でも嬉しい。
満開の彼岸花を眺めていると、咲夜が突然その花を一輪だけ摘み取った。
「え、触っちゃ駄目なんでしょ?」
驚く雪美に、咲夜は真っ直ぐな目で相手を見つめ言葉を紡ぎその花を差し出した。
「思うは貴方1人」
「… え、触っていいの?」
彼岸花は毒がある禁じられた花。
命に関わる、そんな花だからこそ咲夜が差し出した花の意味を、雪美は何も言わず感じ取った。
「ゆき、縁談のこと… 後悔してないか?」
「え?小さな頃からずっと一緒で、何で… 今更何でそんなことを言うの… 」
咲夜の言葉に表情が曇る雪美、咲夜は彼岸花をそっと雪美の髪に挿した。

