鏡と前世と夜桜の恋

蓮稀は今日も朝早くから、おすずの屋敷を訪ねていた。

おすずの屋敷は入り口を抜けると、正面には高くそびえる螺旋階段…

深いワインレッドの絨毯が床を覆い、虎の毛皮が誇示するように置かれている。

「鈴香が何をしたと言うのだ。縁談の話で根に持っているのならば断ったのは俺… 」


幾度も無礼を詫び、額を床に擦りつける蓮稀をおすずは豪快に笑いながら見下ろした。

「鈴香は何も悪くない。お願いします、彼女に一目だけでも会わせてください…」

「ならば陽菜と結婚するかい?…とは言ってもあの娘は咲夜様の方がお気に入りのようでねえ〜蓮稀様は代わりに私の相手をするんだよ」



おすずは蓮稀の髪を乱暴に掴み、無理やり椅子に押しつけた。

次の瞬間、衣擦れの音と共におすずが目の前に歩み寄る。

気持ち悪い…

ここから逃げ出したい
もう早く帰りたい。

「あの小娘を悪いようにされたくなければせいぜい私に尽くすことだねえ〜」

「…もう、勘弁してください」

「うるさいね!口答えするんじゃないよ!誰がお前ら兄弟を育てて来てやったと思ってんだ… すずちゃんがどうなっても良いのか!」

震える声で懇願する蓮稀に乾いた音が響く、蓮稀の頬に痛みが走った。

おすずはその顔を愛おしげに撫でながら、蓮稀の耳元で優しく優しく囁いた。


「綺麗な顔に傷をつけたら、すずちゃん悲しむだろうねえ?私のせいで…って自分を責めるんじゃないかい?」

「……。」

「大人しくなったね、それほどまでにあの小娘が大切なのかい?妬ましいものだねえ〜」

おすずの影がゆらりと覆いかぶさる。蓮稀は抵抗の力を失い、ただ目を閉じた。

今日もおすずは無表情の蓮稀の上に跨がり、自分の中に無理矢理挿入しようとする。

抵抗しなくなった蓮稀の上で嬉しそうに巨体を振る… おすずはずっと蓮稀が欲しかった。自分の物にしたかった。

この綺麗な生き物を " 服従 " させたい。

おすずの狙いは蓮稀が縁談を受けた時…
ようやく夢が叶った。