鏡と前世と夜桜の恋


申又は歯噛みし、怯えた表情を見せない雪美が気に食わない反面、強気な態度に興奮し雪美の着物を乱していく…

「出かけたければ、俺に従え」

始まるのはただの支配… 申又との行為に気持ち良さは一切無く、感じるのは気持ち悪さと痛みだけ。雪美の心は遠くへ逃げ、咲夜の名を呼び続けた。

「さく、さく… 」

「黙れ!!!」

何をしても咲夜には勝てない、男として見て貰えない…

雪美の態度が気に食わない申又は、一度たりとも濡れた事のない雪美の中に今日も無理矢理挿入する。

" 痛… " 雪美は痛みに耐えながらも畳に突き刺さるかんざしを見つめ微笑んだ。


行為が終われば雪美は自分の中から流れる血を見つめ、果てて座り込む申又に対し嘲笑いながら乱れた着物を整え、淡々と立ち上がった。

「咲夜なら血が出るような事にはならぬ気がします」

「なっ… 」

申又の焦る反応を見てくすっと笑った雪美は鏡の前に立ち髪を結い直し、出ていこうとする。

「… そうだ雪美、母から文が来た。咲夜は死んだと」

突然投げ渡された言葉は、静かな刃だった。

「… え、さくが?」

嘘… 足を止めて振り返り、言葉を詰まらせる雪美の姿を見た申又は笑い転げる。

「咲夜も蓮稀ももうこの世にはおらぬ、お前は独りだ!」

嘲る声に雪美は首を振る。

「信じません!さくは私と約束したんです。約束の場所で待っていてくれと… 」

「あやつの事ばかり… 黙れ!!!」

感情を爆発させた申又は小刀を振るい、雪美の喉元を浅く裂いた。

「いた…っ 」

気に食わないとなれば直ぐに暴力… 痛みで顔を歪ませた雪美は血が滲んだ喉元を無言でそっと触れた。