母が付き添い蓮稀と鈴香の亡骸を京へ送る。
そして…
「ゆりね」
政条家の父に名を呼ばれ女忍は静かに膝をつく。
「雪美の安否を確かめてきなさい。何があろうと、必ず外部に漏れぬよう」
「… 承知いたしました」
ゆりねは深く頭を下げ
政条家は静かに動き始めていた。
表では嘆き裏では真実を探る、蓮稀と鈴香の亡骸… その差が示すのはただ一つ。
" この死の犯人は咲夜では無い " と。
そして咲夜が愛する雪美の身にも同じ闇が迫っている可能性が高いと政条家の父は判断した。
夜はまだ明けない… だが、真実へ向かう道は、少しずつ確かに踏み出されていた。
-- おすずと陽菜が足音も荒く牢を出て行ったあと。
残された薄闇の中で、咲夜は心に浮かぶ雪美の姿を前に壊れ、崩れ落ちていた。

「…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、あひゃひゃ、ごめんなさい、ごめんなさい、あああああ"あ"あ"あ"ああ… 」
言葉は祈りにもならず、ただ喉から零れ落ちる。謝っても謝っても、何一つ戻らぬと知りながら、同じ言葉を繰り返すしかなかった。
咲夜の1日は、昼も夜もない。
1日1度どころか、気まぐれに呼ばれれば何度も何度もおすずと陽菜の欲の捌け口として引きずり出される。
鎖に繋がれ蓮稀の姿もない今となっては、身体の意志など意味を成さない。
藤川の手による拷問で骨も心も削られ咲夜は " 生かされている " だけの存在となっていた。
" 雪美を迎えに行きたい "
その思いだけが胸に残りながら… 逆らえない、自分の足は一歩も動かない。

