囚われた咲夜と目が合い、雪美の胸は凄く締め付けられる。
「待ってて!私が開けてあげる!」
そう言い残し、雪美は駆け出した。
「逃げろよ馬鹿。開けてあげる!じゃねえだろ…」
雪美の無事にほっとしながらも、どこかへ走って行った雪美に咲夜は落ち着かない。

-- 数分後。
戻らない雪美に咲夜は牢の中で何度も足を動かす… 生きた心地がしない。
やがて、全速力で駆け戻って来た雪美の手には、細い鉄の棒… 蓮稀の真似をして鍵穴へ差し込み――。
「えい、えい…!」
ガチャガチャと音を立てるが開く気配はない。
「えー、何で!?何で開かないの!」
必死な姿に咲夜は思わず吹き出した。
「ただ突っ込んだだけで開く訳ないだろ」
「うわーん!やだやだやだ… 力づくでいけないかな?」
(可愛いなあ)
抜けていて、お人好しで、無茶ばかりする、それがまた雪美らしい。
「蓮稀の格好してるんなら普通に鍵もらえば…」
「あ…そうじゃん!!!」
(何故それを思いつかない… )
「私で大丈夫かな… ?」
雪美の抜け具合に思わず苦笑している咲夜を残し、ぶつぶつ呟きながら雪美は再び走り出した。
その小さな背中を咲夜は牢の中からただ見つめることしか出来ず… ヒヤヒヤしながらも更にしばしの刻が過ぎた。
「さく、鍵あったよー!」
牢の奥から小走りで戻ってきた雪美の声は嬉しそうであまりにも無邪気だった。
「…あったよ、じゃない。しーっ!!」
「あ、しーっ… 」
" ガチャ "
小さな音を立て鍵は確かに噛み合った。
「…さく、開いた!!」
その瞬間、規則正しい足音が近付いて来る… 見張りだと咲夜は瞬時に悟る。

