「おいコラ!! 放せ!!ゆきには触るな!! ゆき!!!」
その声は夜気に裂けるように響いた。
「…やだ、待って…さく、さく!!」
雪美は泣き叫び、必死に手を伸ばす。だがその指先は虚しく宙を掻くだけだった。
「誰のものだと思ってるの?」
陽菜はそう言いながら、雪美の前に立ちはだかる。
申又はその様子を満足そうに眺め、咲夜に顔を近づけて耳元で囁いた。
「雪美を守るって言ってたよなあ?…でもさ世の中そんな甘くないんだよ、たわけ!」
その言葉と同時に
咲夜の視界が強引に遮られる。
「ゆき!!! 忘れるな!!俺は、俺は… 」
最後まで言葉は届かなかった。
「私のお父様が咲夜さんのこと通報してくれたのよぉ♪ 私の旦那様であり、この殺人鬼を野放しにして置けないって」
… 藤川が?
「ふざけるな!俺は誰も殺めてなど… 」
咲夜は、陽菜と町奉行所の男達に引きずられるようにそのままどこかに連れて行かれる。
「さく… どうして、さく… 」
その場に残されたのは崩れ落ちる雪美と、胸に焼き付いた咲夜の背中だけ…
「雪美ー、あの日以来だなあ」
「やだ、助けて、さく、さく… 」
申又に捕まった雪美はそのまま体を触られ、服を脱がされ…
やだ、やだ…
小さな洞窟の中、助けを求める雪美の悲痛の悲鳴だけがずっと響き渡っていた。

