
「… ゆきは怖くなると昔からここだ」
森道の中、小さな洞窟がある場所に来た咲夜は震えながら隠れる雪美を見つけて目の前でしゃがみ込んた。
久々にゆきと話せて幸せを感じる
「さ、さく… おすずさんどうだった?私も鈴香ちゃんみたいに殺される?怖い… 」
雪美の震えは異常なほど止まらない。
「俺はゆきの事だけは自分の命に変えてでも守るから。あの時、蓮稀には悪いけど… ゆきじゃなくて良かったって思った、俺も最低だよ… 」
「やだ、鈴香ちゃん… 」
震えながら泣きじゃくる雪美は、堪えきれず咲夜に抱きついた。受け止めた咲夜はこれでもかというほど強く雪美を抱きしめる。
その瞬間…
「咲夜さーん❣️」
耳にまとわりつくやけに甘ったるい声。背筋をなぞる嫌な予感に咲夜は思わず歯を食いしばった。
この声を間違えるはずがない、陽菜だ。
ここまで付けられていたのか?
咲夜の身体が一瞬だけ硬直する。だが次の瞬間、はっと我に返った。
「雪美、行こう」
低く短く伝え咲夜は雪美の腕を掴む。
迷う暇などない。2人は視線を交わすこともなく互いの手の温もりだけを頼りに、その場から逃げ出そうとした。
背後からまた一歩、足音が近づいてくる…
「雪美ー、雪美…」
陽菜の背後から現れた申又は口元を歪め、粘つくような笑みを浮かべ雪美の名を呼んだ。
申又の視線は、獲物を見定めたように冷たい。
申又の後ろには町奉行所の男たちが数人… その瞬間、嫌な予感は確信へと変わった。
「……っ!」
抵抗する間もなく咲夜は男達に取り押さえられる。腕を捻られ、地面に押さえつけられながらも必死に雪美の方へ叫んだ。

