-- 翌日。
薄曇りの空の下、蓮稀と咲夜は並んでおすずの屋敷へ向かった。長く続いた “ 言いなり ” を、今日こそ終わらせる… その覚悟だけを胸に。

庭先では、おすずが花壇の花に水をやっていて土に落ちる水音がやけに大きく響く。
「…おすず」
蓮稀が名を呼び静かに頭を下げる。
「これまでのこと感謝はしております。ですがもう… 俺達はこれ以上、貴方に従えません」
おすずは振り向かず
水をやる手も止めない。
「お願いです」
咲夜が続ける。
「鈴香もいい加減返してください。せめて… 亡骸だけでもちゃんとしてやりたい」
返事はなく花に水を注ぐ音だけが続く。
沈黙に耐えきれず蓮稀が言葉を重ねた。
「それに… なぜ、俺のあんな写真をわざわざ撮っていたのですか」
その瞬間だった。
「… うるさいっ!!」
おすずが甲高い奇声を上げ、柄杓を投げ捨て水が飛び散り花壇が濡れた。
「きぃぃいぃい!!!うるさい、うるさい、うるさいよ!!」
振り返ったその目は怒りと執着で歪んでいた。
「咲夜さんは雪美さん、蓮稀様は鈴香さん…」
唇を歪め吐き捨てるように叫ぶ。
「あんな小娘のどこが良いんだい!!その関係今すぐにでもぐちゃぐちゃにしてやりたいよ!2人とも私のものなのに… 」
踏みつける音。
咲き誇っていた花が無惨に折れる。
蓮稀と咲夜はあまりにも異様な光景に言葉を失った。
「咲夜さんも、蓮稀様も… 」
おすずは笑いながら怒鳴る。
「私を抱いたくせに… なんで、なんで小娘ばかり… きいいぃぃぃぃっ!!」
-- 私を抱いた?
咲夜の胸の内に黒い怒りが渦巻く、ふざけんな。俺はゆき以外に興味などない。

