「咲夜さん本当大変だったよね… 」



主犯はコイツらなのに…



おすずと陽菜はバレないようにとどこまでも他人事発言を繰り返しながら話しを続ける。



「お前らがして来た事に比べたら大変でもなんでもない」



二人の他人事発言にいい加減見兼ねた咲夜は一言呟き相手にせず、そのまま椅子に深く腰を掛け座る。



客間には蓮稀と咲夜の母上だけじゃなく父上もいて



「… お話しとはなんでしょうか」



用件を問いかける母上、陽菜は身を乗り出し " 咲夜さんと一緒になりたいの… どうしても… " と、言いながらその場でわざとらしく泣き始める…



「耳障りなんだよ」



そんな事を言いに来たのか?完全に悲劇のヒロインぶる陽菜の態度にイラッとした咲夜は思わず舌打ちし、眉間にしわを寄せる。



そんな咲夜の姿を見たおすずは、マズイと思ったのか机を叩きながら身を乗り出し…



「単刀直入に言うよ!咲夜さん… 私達は咲夜さんと、この政条家が欲しいんだよ!咲夜さんにはずっと私達の相手をして貰う。何の相手かは咲夜さん " 自身 " が一番知っているだろう」



泣きじゃくる陽菜に見向きもせずに開き直り、自分の要望だけを伝えて意味深にニヤニヤ笑うおすず。



「そうすればあの小娘は自由にしてやるよ!まあまあまあまあ陸がどうするかは知らないよ!あの子のやる事には口を挟まない、自由にさせるけどね〜?」



「極悪非道だな本当に。俺が欲しい?まだ言うか。お前らには俺の足をくれてやっただろ。動かなくまでさせられてこっちはゆきを抱く時、足が使えなくて困っているのに… 」



おすずに折られて動かなくなった右足を見ながらシレッと笑い、冷たい表情を見せる咲夜。



「さ、咲夜さんがゆきさんを抱く… いやあああああああああああああああああああああああああ!!! 」



想像して絶叫し始める陽菜。