ーー その日の夜。



今日も八重桜 (雪美) を買いに来るのは咲夜で… 甘えるように雪美の膝に頭を乗せた咲夜は髪を撫でられくすぐったそうに笑う。



「ねえ、さく… 」



「ん?」



雪美は泣きそうになりながら、陸が連れ戻しに来た話をする。



「… キリシマ (雪美の付き人の男) から全て聞いた」



「私はまたあそこに戻されるかもしれない… だからさく、もういいよ?幸せだったこの数日… 「ふざけるな、良い訳ないだろうが!!」



口調が強くなった咲夜は起き上がり、そのまま雪美を押し倒し何度も何度も唇を重ねる。



「もう… // 」



触れられた場所が熱を持つ " 気持ちが落ちて今はそんな気分じゃないのに " と思いながらも、完全に相手のペースに飲み込まれ、雪美の身体は咲夜を求め疼き始め… 今宵も狂おしい程に抱かれた。



「だ、駄目よ、さく… 」



「もう良いとは?… 黙れ!!俺に抱かれ足りないからそんな言葉が出るんだ。身体も心も俺で染まれば… 俺だけ見てればそんな言葉など出ない」



「ごめんなさい… 」



" ゆきは絶対に渡さない!! "



さくは戦おうとしているのに私は諦めモード… これじゃ駄目だと自分に言い聞かせながら、雪美はいつも以上に咲夜に激しく愛された。








ーー 翌日。雪美を朝まで愛し、遊郭から出た咲夜は人気のない裏路地でゆりねと落ち合っていた。







「ゆきが危ない」



「今、身請けの為の金の用意をしております。ただあの一族が邪魔をし、中々こちらに届けられず… 」



俺が身請け出来れば、ゆきを守る事が出来るのに… 頭を悩ませ少し悩んだ咲夜は、ある結論を出した。



「2日ほどゆきを頼む。何人たりとも客をいれぬ様に… 俺は一旦向こうに戻る」



「分かりました。相手は極悪非道… 何をするかわかりません。咲夜様、お気をつけて… 」



咲夜の決断に対し、相手が相手だからとゆりねは心配そうな表情を浮かべるが " 私達も出来る限り協力します " と、深く頭を下げた。



「大丈夫だ。ありがとう、ゆり… 」



ーー この日
咲夜は急遽、列車で長崎に戻る事にした。