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雪美の帰りが遅いと心配になった母から連絡を受けた蓮稀は誰より早く家を飛び出した。
咲夜は変わらずおすずに呼び出されまだ戻って来ていない… だとしたら雪美は1人のはず。
雪美の帰りが遅いと聞いた瞬間から、胸の奥で嫌な予感が離れなかった。理由は分からない、ただ夜の気配が重すぎた。
川へ向かう道は潮の匂いがやけに鼻につく。胸騒ぎは次第に確信へと変わっていった。
「雪美、雪美…」
名を呼びながら、河岸に視線を走らせたその時、倒れるように横たわる影が月明かりの下にあった。
-- 嘘だろ。
足が勝手に動き息が乱れる。近づく程に考えたくない現実が形を持って迫ってくる。
見間違えるはずがなかった。
「…雪美!!」
膝をついた瞬間、世界が一度、音を失った。代わり果てた雪美の姿を見てまずは呼吸を確かめるが手が震える… 今更何を恐れているのか、自分でも分からなかった。
脈はある
良かった、雪美は生きている…
その事実だけで蓮稀は喉の奥が熱くなる。
だが、雪美の姿を見た途端、胸の奥で何かが崩れ落ちた。着ていた衣は意味を無くし、見てはいけないものを見てしまった気がして、思わず視線を逸らす。
「……。」
ボロボロになった雪美の姿に蓮稀の怒りは遅れて込み上げてきた。
守れなかった。
気付けなかった。
もっと早く迎えに行けばよかった。
「俺が、付いていれば…」
誰にも聞かれないように絞り出す、謝罪にも言い訳にもならない言葉だった。
雪美の目は開いていたが、そこに自分が映っているかも分からない。名を呼んでも心まで届いていない気がした。
蓮稀は雪美の体を自分の羽織でそっと包み、冷えた体温を逃がさぬように距離を保つ。
雪美の帰りが遅いと心配になった母から連絡を受けた蓮稀は誰より早く家を飛び出した。
咲夜は変わらずおすずに呼び出されまだ戻って来ていない… だとしたら雪美は1人のはず。
雪美の帰りが遅いと聞いた瞬間から、胸の奥で嫌な予感が離れなかった。理由は分からない、ただ夜の気配が重すぎた。
川へ向かう道は潮の匂いがやけに鼻につく。胸騒ぎは次第に確信へと変わっていった。
「雪美、雪美…」
名を呼びながら、河岸に視線を走らせたその時、倒れるように横たわる影が月明かりの下にあった。
-- 嘘だろ。
足が勝手に動き息が乱れる。近づく程に考えたくない現実が形を持って迫ってくる。
見間違えるはずがなかった。
「…雪美!!」
膝をついた瞬間、世界が一度、音を失った。代わり果てた雪美の姿を見てまずは呼吸を確かめるが手が震える… 今更何を恐れているのか、自分でも分からなかった。
脈はある
良かった、雪美は生きている…
その事実だけで蓮稀は喉の奥が熱くなる。
だが、雪美の姿を見た途端、胸の奥で何かが崩れ落ちた。着ていた衣は意味を無くし、見てはいけないものを見てしまった気がして、思わず視線を逸らす。
「……。」
ボロボロになった雪美の姿に蓮稀の怒りは遅れて込み上げてきた。
守れなかった。
気付けなかった。
もっと早く迎えに行けばよかった。
「俺が、付いていれば…」
誰にも聞かれないように絞り出す、謝罪にも言い訳にもならない言葉だった。
雪美の目は開いていたが、そこに自分が映っているかも分からない。名を呼んでも心まで届いていない気がした。
蓮稀は雪美の体を自分の羽織でそっと包み、冷えた体温を逃がさぬように距離を保つ。

