ヴァイオレットがそう話すと、二人にお茶を用意するために部屋を出ようとしていたアイリスはピタリと動きを止め、イヴァンは大きく目を見開く。刹那、ヴァイオレットの肩は強くイヴァンに掴まれた。

「君、イザベル・ランカスター嬢じゃないだろ?しかも魔法家系じゃなくて非魔法家系だね」

ヴァイオレットの額に冷や汗が浮かぶ。まだ会って数十秒だというのにもう正体が呆気なくバレてしまった。

(全然大丈夫じゃない……!)