「そうなの?いつか、私にもわかる?」

「ええ、きっといつかわかる時が来るわ」

「魔法が使えない私に、そんな難しそうなことがわかるかな?」

「お母さんでもわかったんだもの。あなたにもわかるわよ」

「お母さん、その気持ちを知った時ってどんな風になるの?」

秋の冷たい風が家の中に入り込む。少女を母親は強く抱き締め、その額に唇を一瞬つけた。

「そうね。愛っていうのはねーーー」



ドシン、と腹部に大きな衝撃が走る。ヴァイオレット・カッシングが何が起きたのかわからないまま混乱していると、「起きろ〜!!」と同僚のミモザ・ワトソンに体を激しく揺さぶられる。

「起きる起きるから!揺さぶるのやめて〜!」