人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜

「イザベル様は、イヴァン様の元に嫁がれるのですね！おめでとうございます！」

ヴァイオレットは笑みを浮かべ、祝福の言葉を述べる。どんなに自分を見下すような人であっても、ヴァイオレットの胸には喜びが芽生えている。だが、当のイザベルは全く嬉しそうではなく、チャールズも無表情のままだ。

「あんた、領主様のこと何にも知らないのね。イヴァン・ブルースターって今年で三十歳のおっさんなのよ！あり得ないわ！」

イザベルは苛立った様子で整えられた自身の爪を噛む。結婚に前向きになれないイザベルを説得するために呼ばれたのかと、ヴァイオレットは読んだ小説の数々を思い出しながら口を開く。

「イザベル様、世の中には歳が離れた夫婦は大勢いらっしゃいます。例え始まりが突然であっても、時間を重ねればーーー」

「うっさいわね！あんたの話なんか聞きたくないわよ！ヒタム！」

懸命に話すヴァイオレットの言葉をイザベルは遮り、自身の杖を向けて呪文を唱える。するとヴァイオレットの舌は口蓋に張り付いてしまい、言葉を話すことができなくなってしまった。

「〜ッ！」