「しゅうくん?」
私は恐る恐る聞いてみた。
「やっと思い出したのかよ。
今まで何度もここで会ってるのに。」
少し怒り口調で先輩は言った。

「ごめんなさい。先輩とその子が一緒だとは思いませんよ。
私と目線一緒だったし、髪型も違うし、声だって違うもん。」
と言い訳を並べた。

「当り前だろ。10年前だぜ。
 背は伸びるし、男には変声があるんだから。」
加納先輩が言ってることは正しい。
何も言えなかった。


「まあ、思い出してくれたんなら良かった。」
加納先輩は安堵した様子だった。
そして私は先輩のとなりに座った。
「あのしゅうくんなんだ。懐かしい。元気でした?」
私は意味のわからない質問をした。
「元気だからここにいると思うんですけど・・・?」
加納先輩は嫌味っぽく言った。
「そうですよね。アハハ」
私は笑った。加納先輩も笑っていた。