全身鏡の前に、大友くんと立つ。

大友くんと比べて、私の頬はふっくらと丸いし、スカートから出る脚も、やっぱり細いとは言えない。



「何を思う?」
と、大友くんは私に問い、私は正直に、
「世の中の平均体重の数値が上昇してくれれば助かるなぁ、と思います」
と、呟いた。



それか、世の中の見た目の良さの概念が丸々変化してくれれば……。



大友くんは「あはっ」と笑い出し、
「何言ってんの、貝塚って面白い人?」
と、歯を見せて、ご機嫌な顔をしている。



それから、「大丈夫!」と、私の背中を軽く叩いた。



「大丈夫だよ、貝塚!」

「え?」

「ほら、鏡をよく見て」



私はじっと、鏡に映る自分を見つめる。

そこには、背筋の伸びた私がいた。



「そうやって堂々としていればいいんだよ。オレ達はみんな違うんだから」

「みんな、違う?」



大友くんは頷き、こう続けた。