「……やっぱり、無理なんですよ」
と、私は言った。



涙が次第に溢れてきて、ポロポロと頬にこぼれていく。



「無理って?」
と、大友くんが訪ねてくる。



「が、頑張っても、キレイにはなれないんです……」

「……」

「目標体重にもまだまだ届かないし……、思ったより痩せてないし……」

「……」

「あんなキレイな人達と同じステージに立つなんて、つらいです」



弱音が次々と出てくる。

こんなどうしようもない弱音を聞かされても、大友くんは困るよね?

こんな私なんて、嫌われちゃうよね?



大友くんはじっと私を見つめてから、
「うん、不安だよな」
と、優しい声で言った。



「え?」

「大きなステージだし、緊張もする。周りばっかり良く見えて、不安にもなるし」

「……はい」



大友くんは抱えていた段ボールを床に置いた。

それから私の所までやって来て、
「貝塚、鏡を見てみろよ」
と、廊下に設置されている全身鏡を指差す。