「キレイ……」
と、思わず呟く。
堂々と背筋を伸ばしてポーズを決める彼女は。
自由で。
気高く。
美しい。
「私、こんなふうになりたい」
背筋が伸びて、堂々としていることは。
こんなにも人を美しく輝かせるのか、と衝撃を受けた。
大友くんは、その週末のウォーキングに付き合ってくれた。
近所の公園で待ち合わせして。
ふたりで早歩きで駅ふたつ分を歩く。
こっそりと、おしゃべりをする楽しい時間を期待していたけれど、無駄なおしゃべりをすることなく、私達は駅ふたつ分を往復し、公園に帰って来た。
「貝塚、頑張ったな」
と、大友くんがペットボトルの水を飲みつつ言う。
「まだ目標体重には達してないんです……」
と、私は少しなだらかになったお腹をおさえつつ返事する。
「でも痩せたよ。顔のりんかくも少しシャープになった気がする!」
と、笑顔になる大友くん。
それだけで。
ほんの少しでも、大友くんに認められたような気がして、嬉しかった。