だから私は一晩待って、今朝は早めに学校へ行くんだ。陸上部は毎日朝練やってるのは知ってたから。

 朔間くんに会う為に。

 お母さんに朝ご飯を早くしてもらって、支度も急いで。その甲斐あって、朝ご飯を食べたらすぐに出発することが出来た。

 学校まではいつも、ゆっくり歩いて十五分くらい。でも今日は全力で走った。途中で息が切れて少し休憩したけど。

 学校に着くと、校舎に入る前にグラウンドへ向かった。陸上部が朝練やってるとしたらそこだから。

 グラウンドは幾つかの部が活動していた。私は部活やってないから知らなかったけど、こんな朝早くにみんな凄いな。

 陸上部は、トラックを使って練習しているみたいだった。ぐるりと周回している団体。その先頭を、朔間くんが走っていた。

 力強いフォームで、地面を踏みしめてグンと伸びてゆく足。後ろを走る人たちをどんどん引き離していく。

 風に流れる髪、朝日に光る汗。とても、とても綺麗だと思った。

 なにより、走る朔間くんは凄く楽しそうで、こちらまで楽しくなってくる。

 私は一晩考えて、気付いた事がある。そしてこの気持ちを伝えたいと思っていた。

 伝わるかな……伝わるといいな。

 528ヘルツで伝えたいんだ。

 私は朔間くんが、大好きだって。





◇終