思いもかけない事が起こった。

 想像もしてなかったし、まさかこんな事があると期待もしていなかった。

 協力者……仲間、と呼んでいいのかな。友達って呼ぶのはまだおこがましい。でも、なんだか嬉しい。

 放課後に、剛里希星たちが絶対に来ないであろう図書室で朔間くんと秘密の待ち合わせをしていた。教室を出る時間をずらしたからまだ彼は来ていない。

 図書室の一番奥、古い資料が並べられている本棚。古い紙の匂いが溜まってる。人もいなくて、しんとして静かな空間。

 ……本当に、朔間くんは来るのかな。

 全部私の夢だったらどうしよう。そうだったらいいな、っていう私の願望だとしたら……

「――悪い、遅くなった」

 もやもやと考えていたら急に声をかけられ、飛び上がる程びっくりしてしまった。私の驚きようにきょとんとして立っていたのは、朔間くん。

 良かった、私の夢じゃなかった。

「とりあえず先生に、朗読コンテストの概要聞いてきた」

 凄いな……協力してくれるって言ったの昨日だったのに、もう動いてくれてる。当の私は、まだなにもしてないのに。