そんなことない!
そんなことないもん!
たしかにレン先輩と話してるときはよく鼓動が速くなるけど!
「じゃ、行こっか。カノジョさん?」
「つ、付き合ってないじゃないですかっ!」
「体験期間中ではあるでしょ?ほら、こっちこっち」
「そ、それ、私やるって言ってないんですけど!?」
なんて、まっかな顔で反論しても説得力があるわけなくて。
私はレン先輩に手を引かれるまま、おいしいカフェとやらに連れて行かれてしまった。
この日からとつぜん始まった恋人体験は、実のところ…。
鼓動が速くなるくらいにはいやじゃないから、こまってる。
[終]



