いつの間にまえまで来てたのか、レン先輩が舞台にのぼって赤史の肩を押す。

でも赤史は、その手を乱暴にふり払って、レン先輩の胸ぐらをつかんだ。




「タイマンだ!」


「お、やる?上等、俺もさっきの一発じゃ足りないと思ってたんだよね~」


「きゃぁっ、赤史くん!」


「桃、ダメ!ちょっと、もう勝負は終わったでしょ!?」




2人のあいだに割って入ろうとする桃を止めて、赤史に文句を言う。

でも赤史は「うるせぇ!」の一言でレン先輩を殴ろうとした。

レン先輩は、赤史のパンチをかわしながら「まぁまぁ」と言って、逆に殴り返す。




「不良のケンカって本来こういうものだし?反抗する気なくなるまでやらせてよ!」


「レン先輩まで、やる気にならないでください!」




きゃー、と一般生徒の悲鳴が上がって、この場はもう大混乱。

私は舞台袖から出てきた紫くんに「こっち!」と言われて、桃と一緒に避難させられた。


せっかく“下剋上(げこくじょう)”をやりきったのに、けっきょく殴り合いのケンカになるなんて…!

もう、不良ってどうしてこうなの!?