【短】追放された姫は一匹オオカミと手を結ぶ



「まえね、階段で人助けをしてる二葉ちゃんを見たんだ。二葉ちゃん、かっこよかった。でも、悲しい結果になって…」


「あ…、…うん」


「Cometの姫は、二葉ちゃんのほうがいいんだなって思ってたの。二葉ちゃんのやり方のほうが、人を守れるんだなって」


「…なんでも肯定したいっていう桃の考えも、すてきだと思う。でもそれは、きっと統率(とうそつ)する人には合わない」




桃は顔を上げて私を見た。

そして「うん、そうだと思う」と答える。




「桃…あのときは、私たちが姫を交代した日のことは、ごめん。私、関係ない桃に当たっちゃって…いやな思い、させちゃったよね」


「…ううん、いいの。わたしも、よくわかってないのに口をはさんじゃったから。赤史くんのこと、ごめんなさい」