【短】追放された姫は一匹オオカミと手を結ぶ

つられるように手をふりかえすと、レン先輩の手は顔に伸びて、目元をおおう。

そのまま上を向く様子に、なにを、と思ってから、さっき言っていたことを思い出した。

そういえば、お兄ちゃんの物まねするって言ってたっけ。


…あれが?


お兄ちゃんの物まね、と思って見てみると、その変なポーズがだんだん、感極まったお兄ちゃんに見えてきて、「ぷっ」と笑う。




「あははっ…!」




お兄ちゃんそっくり!

いまここにお兄ちゃんがいたら、それ、やりそうだもん!


なんて、思いっきり笑っていたら体育館がざわっとして、あ、といまの状況を思い出した。




「…すてきだね」


「え?」


「二葉さんの笑顔、とってもすてき。わたし、見とれちゃった」