頭を抱きこむようにうしろから手を回して、ぽんぽん、と私の頭をなでたレン先輩は、床に手をついて立ち上がる。
速くなった私の鼓動なんて知らんぷり。
いつもどおりひょうひょうと、軽く笑って、「じゃあね」と言ったレン先輩は、短い階段を下りて舞台袖から出て行った。
「はなし終わったぁ?ドレス着るんでしょ。あたし向こうにいるからまずは着替えてよね~」
「あ、はい…!」
私はあわてて立ち上がって、ドレスを広げる。
そっとほおに触れると、熱が出たときみたいに熱かった。
こんな顔、別の意味でかくしたくなるよ…!
はぁ、とため息をついてから、制服を脱いで、チャックを下ろしたドレスに足を入れる。
サイズ合わせは事前にしておいた。
「っつ、なにしやがる、てめぇ!」



