だって、見てると妙にドキドキするんだもん。

実際に、速くなってきた鼓動を感じていると、レン先輩は両手を伸ばして私のほおをマスク越しに包んだ。




二葉(ふたば)ちゃんのえくぼもそうだよ。笑顔のかわいさが増してる。無邪気で、恋色に染めたくなるような…」


「!」




レン先輩は茶色の瞳を大人っぽく細めて、ほほえみながら私の目を見つめる。

ドキドキと、心臓の音がはっきり聞こえた。




「知ってる?女の子の笑顔は最強なんだ」


「え…?」


「マスク越しでも、二葉ちゃんの笑顔ってすごくかわいいんだよ。えくぼがかくれるからじゃなくて…」




レン先輩の指が私の耳に触れて、マスクのひもをそっと外す。

ほおに湿気の混じった空気が触れて、ごくりとつばを飲んだ。