どくりと、心臓が重い音を立てた。


ミスコンから、降りる…?

レン先輩に力を貸してもらって、せっかくここまで来たのに…。


あと一歩のところで、私はあきらめようとしたの?




「…いいえ。降りられ、ません」


「そっか」




ふるえる声で答えると、明るい声でうなずいたレン先輩は、私のまえに回ってあぐらをかいた。




「見て、俺の顔」




そう言われて、ゆっくり顔を上げる。

目が合うと、レン先輩はにこっと笑って、左目の下を指さした。




「目の下に点々がついてる。変でしょ?」


「いえ…」




レン先輩のそれは、変というより、目をひかれる魅力が…。

そんなことを思っていると、心を読んだようにレン先輩が小首を(かし)げる。




「珍しいけど、魅力的?」


「はい…」