コンコン


「二葉ちゃん、入ってもいい?」




どれくらいの時間、マスクを見つめてぼう(ぜん)としていたのか。

気づいたら、くぐもったレン先輩の声が聞こえる。


返事ができずにいると、「入るよ?」と再び声をかけて、時間を空けてからカチャ、と扉が開く音がした。




「二葉ちゃん、もう着替えは…って、どうしたの?」


「な~にぃ?座りこんじゃってぇ」


「レン…先輩…」




レン先輩と、知らない女子の声。

2人の足音が近づいてくると、「うわ」と女子の声がまた聞こえた。




「ひっど~い。ぼろぼろじゃん」


「…二葉ちゃん、どうしたの、それ?」


「…赤史が、来て…っ」