【短】追放された姫は一匹オオカミと手を結ぶ



「…わかった、姫さんにそこまで言われたら断れねーよ」


「本当ですか!ありがとうございます!」




ホッとして、顔を上げて笑うと、3年の先輩は「うっ、やっぱかわいい…」と半歩下がった。

下剋上(げこくじょう)”を宣言してから数日、私は去年から仲の良かった人を中心に声をかけて回っている。




「俺たちがどうかしてたみたいだな…銀河(ぎんが)総長の妹があくどいことするわけねーのに」


「…赤史が、いろいろ言ったんですよね。総長の言葉なんだから、信じて当然ですよ」




眉を下げて笑うと、先輩は「すまねぇ」と目をつむった。




「でも、“金原レン”か…おなじ学年だから、うわさは多少聞いたことあるけど、大丈夫なのか?」


「それは…えっと、なんとか、します」


「…わかった、俺も周りに声かけてみるよ」


「!ありがとうございます…」