【短】追放された姫は一匹オオカミと手を結ぶ



「あ、ごめん。二葉ちゃんを侮辱(ぶじょく)する言葉が聞こえたからつい」


「なっ…!」


「あ、赤史くん、大丈夫…!?」


「さっさと勝負内容決めなよ。タイマンでもなんでもいいけど?」




こんなに強く味方してくれた人は初めてで、じーんと胸が熱くなる。

思わずつないだ手に力がこもると、ぎゅっと、レン先輩も握り返してくれた。

ドキドキと、鼓動が速くなる。


レン先輩の背中越しに見えた赤史は、くっと顔をゆがめていて、レン先輩をにらむように見上げた。




「なら、勢力戦だ!味方が多いほうが勝ち。無名のおまえは負けるしかないけどな!」


「ははっ、なっさけねーの。力じゃ勝つ自信ないんだ?まぁいいよ、それじゃ、“下剋上(げこくじょう)”のルールどおり1週間後にね」