【短】追放された姫は一匹オオカミと手を結ぶ



「は?なんのつもりだよ」


「そりゃあ総長になるつもりだけど?かわいいお姫さまを(はべ)らせて」


「桃をうばう気か?」




赤史は腕をよこに伸ばして、仁科さんをかばう。

仁科さんはきっときょとんとしてるんだろう。

いまでも、Cometのことよくわかってないみたいだから。


レン先輩は仁科さんを見ると、「ん~」と目を細めて笑った。




「いまのお姫さまもわるくないけど、俺、もっとかわいい子知ってるんだよね。…おいで、俺のお姫さま」




う、なんてキザな呼び方。

たしかに私は、レン先輩の手で姫にしてもらう立場だけど…。

ほおが熱くなる。


赤史やクラスメイトのみんながお互いを見て姫探しをしている中、私はスクールバッグのチャックを閉めて、うしろの席から歩いて行った。

教室のまえ、そしてレン先輩のまえへと。

赤史と仁科さんのまえをよこぎって。