【短】追放された姫は一匹オオカミと手を結ぶ



同情してくれる言葉に、首をふった。

わるいのは、彼じゃない。




「私が、赤史にきらわれたせいで…っ。姫じゃ、なくなったから…Cometから、追放されたから…!」




そうだ。

私、追放されたんだ。

いままで、ちゃんと理解できてなかった。


私はもう二度と、Cometにもどれないんだね…。




「う、ぅ…っ」


「…姫にしてあげようか?」


「…え…?」




金原先輩の言葉が理解できなくて、一拍置いてから顔を上げる。

よこに2つならんだ泣きボクロ。

その上の、切れ長の瞳が私をまっすぐ見つめていた。




「お姫さまに、もどしてあげようか?」




金原先輩はにっこりと笑う。




「え…でも、どうやって…」




戸惑(とまど)いながらも、浮かんだ疑問を口に出すと、金原先輩は小首を(かし)げた。