やさしい声。
ぜんぜん知らない人なのに、胸がきゅっと締め付けられて、私は吐き出すように言っていた。
「っ…私、もう、限界で…!」
「…そっか。なにがあったの?」
ゆっくりと頭をなでた手が離れて、金原先輩があぐらをかく。
ひざにひじを乗せて、両手の指先を絡めて。
「…赤史が、仁科さんを姫にするって言ったんです…!私が強く言っちゃったせいで、仁科さん、泣いちゃったみたいで…」
「うん」
「二度と視界に入るなって…みんなにも、無視されるようになって…今日は、机、廊下に出されたりもしたし…」
思い出して、両手で顔をおおう。
「さっき…1年生を、助けたんです…でも…いまの私に助けられてもうれしくないって…それが、一番辛かった…!」
「そっか…ひどいこと言うやつもいるねぇ」



