【短】追放された姫は一匹オオカミと手を結ぶ

なんだか、足元がぐらぐらとして、床がくずれてしまったような感覚がして、鼻の奥がつんといたくなる。

じわじわとあふれてくる涙が抑えられなくて、私は目元に手の甲を当てながら階段を駆け上がっていった。




二葉(ふたば)さん…」




仁科(にしな)さんの声が聞こえた気がする。

でも、いまは周りなんて見れない。



まだ、3時間目のあとの休み時間だから…。

あそこが、空いてるはず。

すこしだけ、隠れられたらいいの。


すこしだけだから…っ。




ガラッ


「うぅ…っ」




ちらっと見た空き教室のなかにはだれもいなくて、ホッとしながらくずれ落ちる。


私の、なにがわるかったの…?

どうしたらよかったの…!?

私はただ、姫としてできることをやっていただけなのに…!


さんざんやってたのは赤史でしょ…!?

それとも、相手がお兄ちゃんだからうまくいってたの…?

わるいのは私だったの…?