「“元”だろうと、こんな現場は見逃せない。いますぐ手を引いて、この子には二度と関わらないで」


「だれがあんたの言うことなんか…」





あごを引いて、一瞬たりともゆらがず、目のまえの男子をにらみつける。

すると、彼はひるんだように「う」と一歩下がった。

となりの男子にも顔を向けて、きっとにらめば、彼もまた一歩下がって2人で目を合わせる。




「「…チッ」」




捨てゼリフの代わりは舌打ちみたい。

2人が階段を下りていくのを油断なく見つめて、その姿が見えなくなると、私は「ふぅ」と肩の力を抜いた。

一歩まえに出て体を反転させ、絡まれていた男子に目を向ける。




「もう大丈夫だよ。Cometはああいうことを許してないから、また困ったことがあったら上級生に言ってね」