【短】追放された姫は一匹オオカミと手を結ぶ

だから私も、いつかちゃんとあのときのことをあやまろう、と思ってはいても、仁科さんのせいだなんて思ったりはしない。




「二葉ちゃん…」


「大丈夫。心配しないで。紫くんも、あんまり私にかまってると、立場がなくなっちゃうよ?」




私は紫くんに笑いかけて、ふたたび足を動かした。

教室に入ると、まえのほうで仁科さんを囲んで、赤史やみんなが楽しそうにはなしている。

私が自分の机を運びこんでも、気づく人はだれもいない。


2人が来たから、もうどうでもいいんだろう。




「…はぁ」




…なんだか、疲れてきたな。