【短】追放された姫は一匹オオカミと手を結ぶ

スクールバッグのひもを握りしめて、1段1段上がっていく。

3階に着くと、階段わきに机とイスが1組置いてあった。


なんでこんなところに…?




「おはよー」


「おはよ、ねぇ、知ってる?Cometの総長と姫、付き合ったんだって」


「え~、ほんと!お似合いだと思ってた~」


「…」




そう。

まぁ、ふしぎじゃないけど。


うつむいてただ足を進めているうちに、教室に着く。

いまはあいさつするなんて、バカなことはしない。

無言で教室に入って、本でも読む。


そうして時間を潰すだけ。

そう思って、自分の席に視線を向けると…。




「くすくす…」




ぽかん、と。

空間が、できていた。


…私の席が、ない。