【短】追放された姫は一匹オオカミと手を結ぶ

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銀河(ぎんが)二葉(ふたば)視点-


あれから1週間が経って、わかったこと。

それは、あの日の出来事が、夢でもなんでもないってこと。


いまも、私に注がれる視線は、軽蔑したような冷めたものばかり。

肩身がせまい思いで登校して、教室では息を殺すように授業を受ける。

赤史(あかし)仁科(にしな)さんに近づくなんて、もってのほか。


世のなかにはいろんないじめがあるなかで、私がされているのは無視だけ。

…言ってしまえばただそれだけのことなのに、これがけっこうしんどい。




「Cometってゆるくなったよな。いまはめちゃくちゃ気楽」


「だな~、あの先輩ルールとか厳しかったし」




階段を上がって、2階を通り過ぎるとき、1年生のそんな声が聞こえてくる。

私、うざがられてたんだな。

まぁ、不良なんて制限をきらうものだし…しかたないって思ってたけど。