【短】追放された姫は一匹オオカミと手を結ぶ

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金原(きんばら)レン視点-


カラカラ、と扉が閉まる。

しん、と静寂(せいじゃく)がもどってから、俺は体を起こした。




「ここにいていいって言ったんだけどな~…俺ってやっぱ気ぃ遣うのへた?」




首のうしろに手を当てて、うーんと目をつむりながら苦笑い。


せっかく寝るフリまでしたのに。




「…それにしても、“姫じゃなくなった”、ね。いまの総長だれだっけ…?」




いったいなにが起きてんだか。

…まぁ、俺には関係ないことだけどさ。

水成(すいせい)中はCometが仕切ってるから、自由にやって目をつけられないように入っただけだし。


…かわいい女の子の涙に、ちょっと心をゆさぶられただけ。

これはいわば男子の本能だろ。

まぁ、あのお姫さまはみんなに好かれてたし、だれかが助けるって。


俺が関わるまでもない。