さすがにこんな態度を取られたら、傷つくよりもあっけに取られる。

ぽかんと、私はマスクのなかで口を開けて…。


…ううん、ちがう、と気づいた。


私が傷つかなかったのは、この人からいやなものを感じなかったから。

この人は私をきらってるんじゃなくて、無関心なんだ。




「…あの、姫が変わったのに、そんなに興味がなくていいの?」


「俺には関係ないもの。一悟(いちご)さんに自由にしていいって許可もらってるし」


「え、お兄ちゃんが…?」




そんなはなし、聞いたこと…。

…あ、いや、1人だけいた、そんな人!

集会に来るメンバーが1人足りなくてお兄ちゃんに相談したら、「1人オオカミがいるから」って。


まったく意味がわからなかったけど、その人は自由にさせていいってことを言いたかったみたい。

さすがに1年経ったら慣れて頭から抜け落ちてたよ…。