前髪をうしろになでつけたような髪型。

垂れた両サイドの髪にはさまれた茶色の瞳と、視線が(まじ)わる。


目元に視線をひきつける切れ長の瞳。

左目の下にはよこにならんだ2つの泣きボクロがあって。


なんて澄んだ瞳をしているんだろう…。




「…」


「…」




笑みを作るように上がっていた口角が下がって、切れ長の瞳がぱちりとまばたきをする。

そんなようす、ひとつひとつにもくぎづけになった。


…目が離せないほどかっこいい人なんて、初めて見た。




「女の子の泣き顔を見てきれいだなんて、初めて思ったよ」




その唇がやわらかく弧をえがいて、まぶたがすこし下がる。

とくんと、胸が鳴ったような気がした。




「お姫さまがどうして1人で泣いてるの?総長は?」


「それは…」




自分の状況を思い出して、ハッとする。

…こんなことを、忘れかけてたなんて。