4階のすみの、空き教室。

ガラッと扉を開けて、そこに逃げこんだ私は、うしろ手に扉を閉めながらしゃがみこんだ。




「っ…」




顔をおおう両手がぬれていく。

マスクのなかに涙が入りこんで、口元が気持ちわるかった。




「ふ、ぅ…っ」


「――どうしたの、お姫さま?」




心臓が止まる。

それは明るく、軽い調子の声で…。


一拍置いてからゆっくり顔を上げると、教室の奥には金色の髪をした人があぐらをかいて座っていた。